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フォイの雑記。

「センス」とは何かを教習所で気づかされた

こんにちは。

 

3年ぐらい前から、「センス」という言葉がよく使われるようになった気がします。

そのころは私はモテようと必死でした。

恋愛系のコラムを読んだり、やたら滅多に友達に相談したりと青春を駆け抜けていたわけですが、

そんな時に「これであなたもモテ男子の仲間入り!」という雑誌の記事があったので早速チェックしました。

 

モテるためには「センスのあるファッション」がまず第一条件ですよ。その次は「センスのあるプレゼント」で女の子の機嫌とりましょう。最後は「センスあるフレーズ」で告白です。これなら女の子は100%落ちます。

 

ってまずセンスの説明をしろよ!

 

という気持ちになったのを覚えています。

 

でも改めて考えると「センス」とはなんなのでしょうね。

はっきりこれだ!と答えられる人はいるのでしょうか?

「センス」が何なのか誰もわからないからみんな口々に言っているのではないでしょうか?

 

この記事で「センス」とは何なのか私なりの結論を書きます。

 

あなたは教官に慰められたことがありますか?

大学の3年生の夏休みを利用して自動車学校に通っていました。

就職活動が迫ってきていたため、「免許ぐらい持っとかないと!あんたは何にもないんだから!」と親に説得され、嫌々通っていたのを思い出します。

 

なにしろ、運転が下手な私は運転中教官に叱られまくったいた。

「5m先しか見ていない。それじゃ路上にはいつまでたっても出れないな。」

「判断が遅いよ。渋滞起こす気なの?」

「ハンドルさばきがなってないな。こんなことで注意される人も珍しい。」

「どうしてミラーが付いているかわかる?後方確認するためなんだ。わかってるならなぜやらない?」

「もう一回教本読んでみて。私がいうことは何もないよ」

「スポーツ苦手でしょ?」

 

口調は優しいけど、グサッっとくる言葉のオンパレード。教官とは思えない語彙力の豊富さ。姑ばりのいびりは毎回ありました。

 

そんな厳しい状況ですが、私はなんとか通っていました。なぜか?それは授業の最後に教官は必ず「色々言ったけど、君はセンスあると思うよ」と言ってくれるからです。

 

まさに飴とムチ。

それまでシュンとしていた私も「センスあるんだ。よしっ次も頑張ろ!」とスキップしながら次の教室へと向かいます。

 

「どんだけ叱られても、俺にはセンスあるんだ!大器晩成型だな~。シューマッハも昔はこんなんだったりして。ハッハッ」

 

そうしている内に、担当教官が変わりました。

教官は変わりましたが私の運転技術は変わりません。当然また怒られます。

でも今度は大丈夫。なぜなら俺にはセンスがあるから。

「いずれはどんな峠も攻められるテクニックになるさ。」心の中で思っていると

なんとその教官も「君はセンスあるよ」と言ってきたのです。

 

「あれっ…怪しいぞ、これ…」

 

次の教官も、次の教官も、皆「君はセンスあるね」と言ってくれるじゃありませんか。

 

そのとき気づいてしまいました。

 

「これ、マニュアルやん!慰められてただけやん!めちゃくちゃ俺の心弄ぶやん!」

 

「センス」という言葉に私の心は蹂躙され、運転が心底嫌いになりました。

 センスほど便利な言葉はない

とりあえず褒めたいとき、どう言ってよいかわからないときに「センス」という言葉はとても便利です。

 

「陶芸が趣味なんだよね。私の作品を見て」「センスあるね!」

「今日のコーディネイトどうかな?」「センスあると思うよ」

「おーいお茶の俳句を応募したんだけど落ちちゃった」「独特のセンスで素敵だけど」

 

違和感がないからどんなときでも使えます。客観的に見たら運転のセンスがあるわけもない私も見事に乗せられてしまいました。

センスがあるとわかるのはセンスがある人だけです。

私は経験を積んだ教官のみが分かる感覚なのだと勝手に解釈したので違和感がありませんでした。

意図してませんが、上げて落とされた私の気持ちはズタボロに。その後はめちゃくちゃ優しいおじいちゃん教官になったので、何とかやり切れましたが、「センス」の使い方の幅広さと残虐性を知りました。

センスある「かまし」

センスはないけれども「君センスあるね!」と言うことで、逆に言った本人がセンスあるように見られるというパターンもあります。

つまりセンスがあるとわかるのはセンスがある人という法則を逆手に取ったわけですね。

SNS上でムカつくやつはこういう奴だなあと思いましたが、それはまた別の話。

 

まとめ

結局センスとは何かはわかりませんでしたが、わからないからこそいろいろな場面で使える言葉だと思いました。まさに日本人が好きな言葉ですね。

でも「センスを磨いてモテ男になろう」という言葉の意味はわかりました。センスを磨くとは、清潔にしたり女の子受けの良い服を買ったりおしゃれな店を知っていたり、いわゆる「モテるために手順」を踏んでいこうぜということです。
 
そうです。普通の恋愛コラムとなんら変わりのない記事です。
センスを磨くという言葉に騙されてはいけません。そもそも「モテる感覚」がないのにどう磨くのでしょうか。優雅に雑誌を読んでいても、「センス」は生まれません。
結局、色々挑戦して、失敗して、経験値を積んでいくほかはないんです。
 
その瞬間、私の「非モテ」は拗れていると悟りました。
 
以上です。
読んで下さり、ありがとうございました。