寿命のコスパについて
こんばんは。
僕は医療系の会社に勤めてるんですけど、今回はそれ系の話題。
なんだか書いてて固い文章になってしまいましたが、
ざっくり言うと
「最近薬もコスパが大事になって来てるよ」って話。
これまでは、患者さんが望むなら既存薬の何倍もの値段がする最新の薬を使う時代からへ変革の時を迎えています。
周知の通り医療費の増大はこの国家が抱える大きな問題です。
2025年には団塊世代が後期高齢者に入り2040年まで、働き世代の不足と高齢者割合の増大が深刻化することが予想されています。
政府は医療費を削減するために、薬価算定の際に「費用対効果評価」を導入しました。費用対効果評価とは、薬価を決める際に有効性だけではなく、費用も評価の軸とする、つまりコスパの良い治療を行うようにするという方針となりました。
費用対効果評価を進めていくことは、僕たち患者のメリットにもなります。効果はあるけどバカみたいに高い薬が安くなったり、医療費の個人負担を少なくすることが出来ます。
で、大事なのはここからです。
具体的に医療のコスパをどのように測るかといえば、ICER(増分費用効果比)という指標に基づいています。「完全に健康な状態で1年間生存を可能にする」ことを「1QARY(質調整生存年)」と呼び、「ICER」は1QARY当たりいくらかかるのかを示す値です。
例えば、60歳からの20年間健康でなんの不自由もない生活を送っていたが、心筋梗塞が発症しその後10年間寝たきりになり死亡したとします。
この患者のQARYは
20(年数)×1(健康状態)+10(年数)×0.5(寝たきり)= 25QARYとなります。
そして治療してQARYが25から26に上昇させるために掛かるコストがICERです。
政府はICERが500万を超えるとコスパが悪いと判断します。
簡単に言えば、1年間健康に生きるために500万円以上医療費がかかったら、その治療もしくは薬剤はコスパが悪いと政府は判断すると言うことです。
難しい話はここまでにして、
ここから僕が思うこと。
これまで医療行為のコスパを考えに入れたことがなかった。
携帯料金でも食事でもなんでもコスパばかり考えているのに、病院に行った時はすっかり忘れてしまう。この状況って変じゃないですか?
命はお金で測れるものではないかもしれませんが、普段から気にしているお金に直してもらえれば自分がどういう治療を受けているかよくわかるので、病気と向き合うことも出来るのでQARYが広まって欲しいなあと思います。
おしまい。