ゾンビ映画ほどためにならないものはない?(荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論を読んで)
まずは私の話を聞いてください。
ゾンビ映画が好きです。理由はありません。考えたこともありません。
しかし考えなければいけない事件が起きました。
よい作品を観るとおすすめしたくなるというのは古今東西あるあるですね。先日、映画好きのバイトの後輩にゾンビ映画をおすすめしました。
「ドーンオブザデット見た?見てないなら是非!」
「何系ですか?サスペンス?」
「ゾンビ映画!」
「ゾンビ映画か・・(笑)あんまり好きじゃないですね。なんか何を伝えたいのかわからないというか、見たあとに何も残らないというか」
「確かに・・・」
私は納得してしまいました。そうです。私はゾンビ映画をただ好きなので、次の言葉が全く浮かんできませんでした。
「くそっ、どうして伝わらないんだ!こんなにもゾンビのことが好きなのに!」
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家に帰って冷静に考えてみても、見たあとに何も残らないことがゾンビ映画のいいところだとしか思えません。見ている「その瞬間」の恐怖体験こそがゾンビ映画の醍醐味です。ジェットコースターに乗った感覚と一緒ですね。
それ以上でもそれ以下でもありません。
ですが、このままでは「映画は生活に還元できるものこそ至高!と思っている」あの後輩には良さを伝えることができない。そこで私より頭のいい人の考えを借りることにしました。
漫画家の荒木飛呂彦さんが著書「荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論」でこう述べています。
世界のそういう醜く汚い部分をあらかじめ誇張された形で、しかも自分は安全な席に身を置いて見ることができるのがホラー映画だと僕は言いたいのです。(中略)少年少女が人生の醜い面、世界の汚い面に向き合うための予行演習として、これ以上の素材があるかと言えば絶対にありません。
なるほど。確かに。
教習所で、交通事故をきっかけに加害者側も被害者側も家庭崩壊してしまう映像を見ました。おそらく、それと同じ教育方法ということですね。
かわいい子にはホラーを見せろです。これで後輩を説得できます