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フォイの雑記。

AKB商法は悪だと思っている人へ

AKB商法とはざっくりいうと、特典をつけることでCDを数売りまくること。

同じ曲だけどいろいろなバージョンを作る。その中に握手券や生写真といった特典を入れる。

ファンはそれをすごい買うから、オリコンランキングの上位でもよく知らない曲があるという現象が起こる。

AKBの一人勝ちはさせないぞとジャニーズもB'zもこの商法を導入する。

結果「よい」音楽がしっかりと評価される環境がなくなっていく。

「こんなオリコンなんてもう価値がない」「音楽業界は秋元康に潰された」という批判が出てきて問題になっていました。

 

それにしても、AKB商法っていろいろなところで議論されていますね。

それが私には不思議でした。

確かに音楽業界を揺るがす問題かもしれませんが、あくまでも音楽業界の話です。他の人が知ったこっちゃない。

支え続けているファンが怒るのはまだしも、議論している人はそうは見えない。むしろアイドルから一番遠そうな学者先生が必死に議論している印象がある。

だから不思議なんです。

 

その疑問をある本を読んで解決しました。そして「AKB商法」ってそんな悪いことではないのかもしれないとも思いました。

山形浩生岡田斗司夫FREEex著「「お金」って何だろう?」」です。

 

 

 

結論から書くとAKB商法」は音楽業界の革命的なビジネススタイルというより、評価至上主義の現代の兆候の一つでした。

そして現在の国民の消費を考える上でAKB商法はわかりやすいから議論の的になっていた、ということです。

 

具体的に話しましょう。

第三章で「貨幣経済」が「評価経済」へと移り変わる可能性について述べられています。

評価経済とは「お金」ではなく「評価」を交換する時代です。

アメリカに「グレイスフル・デット」というおもしろいバンドがありました。1965年から1995年まで長く愛されていました。

何がおもしろいってそのビジネススタイル。アルバム売ってなんぼの時代に、ライブで録音自由というルールをつくった。アルバムを売るということに縛られないから、自由なライブを展開する。だからライブが人気になる。ファンに支えられて長い間人気だったバンドです。

 

CDを買うよりも、アーティストと一緒に盛り上がれる時間を優先するのがグレイスフル・デットのファンでした。

AKB商法もこれと似てるんじゃないのかというのがこの本の主張です。

そもそもAKBは「会いに行けるアイドル」というキャッチコピーでした。グレイスフル・デットと同様に、ライブでの一体感やアイドルとの近さが売りでした。それがウケて人気になる。

物よりも気持ちを優先する場面が増えているので当然ウケますよね。

私も高級フレンチよりも彼女のつくった手料理がおいしかったする。岡田さんは今の若い人は「自分の気持ち至上主義」だと言っていますが、その需要にぴったりなのが「会いにいけるアイドル」でした。

それを商売にする事は悪いことではありません。

しかしAKBはグレイスフル・デットと違い、CDを売ることに固執した。それが「AKB商法」のめんどくさいところです。

「握手券だけ売れ!」という意見がありますが、まさにその通りということですね。

 

でもAKB商法は音楽業界をダメにしたという意見もありますが、CDの売上=人気というシステムが壊れただけで音楽業界はまだ大丈夫なんじゃないかと思います。

秋元康は目先の利益をとって産業を衰退させたという意見もありますが、人気になるためにはオリコンに入らなければならないというシステムに疑問を感じていた人は多いのではないでしょうか。

ロックバンドがオリコンに入った瞬間に大衆に迎合したと見なされ、離れていくファンもいます。

システムの不具合はもともとあったなら、それにこだわらないでいいのではないのでしょうか。

「会いに行けるアイドル」だけだと、それまでの音楽業界のやり方では大きくすることができない。

でも 時代が求めているのは「会いに行ける」というファンの気持ち。

その二つを両立する形が「AKB商法」なのですね。